世界人口の4割が量的・質的に十分な水を手に入れることができない」と、世界銀行は水資源が決定的に不足の段階入ったことを警告している。




国連環境計画(UNEP)の報告書によれば、世界の水需要は、過去半世紀の間に約3倍にも膨れあがった。この間に人口は2.4倍しか増えていないから、あきらかに消費の増大が加わっている




環境や資源の専門家の間でも、近い将来、水不足が地球環境上の最大の問題になるという意見が強い。水の不足は単に生活用水が足りなくなるだけでなく、大量の水を必要とするハイテク産業や稲作など、農工業、さらには環境などへの影響ははかり知れない。




20世紀は石油をめぐる戦争だったが、21世紀は水をめぐる戦争になる」という予言の言葉も聞かれる。




地球上の水のほとんどは海水。

淡水は2.5%しかなくこのうちの7割が北極と南極の氷

川、湖沼は0.3%にしか過ぎない。




この10年間ほど世界が「史上初めて」「気象台開設以来」……といった話にはことを欠かない。気象データをみるまでもなく、地球は気象の不安定期に入ったようだ。

この12年だけとってみても、各地で深刻な干ばつの被害が報告されている。




東アフリカでは2000年からつづく干ばつで、によると、8カ国で計約1500万人が食糧不足(世界食糧計画・WFP)。

過去4年間、雨量が例年の4分の1ほどしかないエチオピアの被害はとくに深刻で、被災者は780万人。このほか、ケニア、ブルンジ、ソマリア、タンザニア、エリトリア、ルワンダ、ウガンダ、スーダンなどでも、100万トン以上の食糧が不足した。




 欧州でも南東部から南部にかけて、干ばつやそれに伴う大規模な森林火災が発生した。また、1部では水不足でダムの貯水量が低下して深刻な電力不足にも見まわれた。米国でも、中西部で干ばつの被害が広がり、過去50年で最悪という山火事が各地で大きな被害を出した。




 中国では、河北、山西、河南、湖北、湖北、四川など北部から中・南部の各省で、極端な小雨のために干ばつとなり、全国の耕地面積の約13%に相当する1240万ヘクタールで作柄が平年を大きく下回った。とくに被害の大きかった河北省では、100万ヘクタールで農業生産が大きく落ち込み、そのうち3万ヘクタールではまったく収穫できなかった。

また、住民2147万人、家畜1706万頭も飲料水が不足した。




毎年8000万人以上増える世界人口が水需要を押し上げ、これに水質汚染が拍車をかけて、各地で慢性的な水不足が顕在化している。

とくに、アフリカ、アジアの南部と中部、米国西部、中東などでは、需要の急増に供給が間に合わない。こうした地域では、上流で水を取水すると下流が不足する




水資源枯渇のもっとも明らかな兆候は、1人当たりの水資源量が急減している地域が目立ってきたことである。通常、1人当たりの年間水供給量が1000立法メートル以下を水逼迫国、10002000立法メートルの国が水不足国と定義されている。




WRIは、世界で26カ国を水逼迫国として分類している。

アフリカ11カ国で、2010年までにさらに6カ国が加わると予想される。

中東は全14カ国のうち9カ国

アフリカは2010年には、慢性的水不足人口が大陸の37%に相当する4億人を超えるとみられる。

水不足国の大部分は人口急増国であり、今後ますます事態が悪化する可能性が高い。