今日、アフリカの講義の中でナミビアのヒンバ族の人々の生活の土地にダムが建設されるというドキュメンタリーを見ました。
ヒンバ族はアフリカの南部から西部にかけて生活する牧畜民です。
乾燥地帯で牧畜を営むには、草が少ないので牛が草を食べつくすと
他の土地に移動します。
生涯で600回の引越をするといわれています。
(つまりそれだけ移動しないと生きていけないわけです)
彼らの住む地域が、ダム建設で水没するという話が上がり、
ヒンバの首長は反対の意志をすぐさま表明し、ヒンバの人々の生活について説明しました。
しかし、工事はドンドンと進められたくさんの文明の利器を持った
白人たちがやってきました。
ヒンバの首長カビカは、さらに抗議をしました。
先進国の人々は、ヒンバ族のような文明に取り残された人々を軽視していました。
それだけでなくナミビアの人々でさえ彼らのことなんか気にしていなかったのです。
ヒンバ族の人々は誇り高い人々でした。
彼らは、自然とともに生き、祖先を大切に思い祖先から伝わる伝統を大切に生きている人々だったのに。
彼らの生活を壊そうとする危険が迫っていました。
若者は、先進国の文明の利器を見せられ、そして貨幣経済に巻き込まれていきます。
そして、村を伝統的な生き方を捨て、町に出て行く者もいます。
また、キリスト教に改宗させられ、自分たちの伝統や宗教が間違っていると洗脳されていきます。
そうやって、ドンドンと彼らの伝統的な社会は壊れかけていくのです。
これと同じことが、世界中で行われてきました。
ヒンバの人たちの声は、まったく無視され工事が進められもうどうすることも出来なくなった時、首長エプパが外国に工事を辞めるようナミビア政府に交渉してくれるように、訴えるためにヨーロッパ各国を周ります。
首長エプパの言葉は、聞く人々の心を揺り動かすものでした。
(この裏にはNGOの人たちの大きな支援があったそうです)
そして、ついに外国からの圧力によりナミビア政府は、ダム工事を中断せざるを得なくなりました。
(ただし、辞めたわけではない。観光客がたくさん押し寄せれば
若者は、金に取り付かれて村を出る。だからヒンバが崩壊するのは時間の問題だと)
こうしたことが世界中で起こっています。
そして、その土地に住む人々は、騙され、無視され、または
殺されたりして土地を追われたり、生活できなくなって絶望してしまうことも多いです。
途上国では自国の予算で大型のダム建設はできません。
こういうことに日本のODAが使われていることも多いです。
G8を目前にして日本では対アフリカ支援を増額する予定です。
しかし、ODAでどういうことに行われるのか?それが重要だと思います。
本当に現地の人々の幸せに繋がっているのか?
社会の崩壊に繋がらないのか?
一部の人々の利益のためではないのか?
環境破壊に繋がらないのか?
そういうことは税金を払う身として監視していく必要があると思います。
そして、こういう話は途上国の話か、、、、ではないのです。
現代の日本でも同じことが繰り返し行われています。
北海道の沙流郡平取町(さるぐんびらとり)『二風谷ダム』に
数日前行って来ました。
ここは、元々アイヌの聖地だったところです。
アイヌの人々は、日本人が「北海道」と呼んで移住を始めるずっと前からこの土地に住んでいた先住民なのです。
(日本は単一民族ではありません)
彼らが聖地の土地を巡って国と裁判を起こしたのは、まだ10年も経っていません。
裁判で原告の萱野さんは「舟おろしの祭りの場所をめちゃめちゃに破壊し、自然を神と崇めるアイヌの精神を平気で踏みにじる、そのやり方にいいようのない腹立たしさを覚えるのであります」と意見陳述しました。
裁判では、このダムは違法と判決が下されましたが、もうすでにダムは完成しているので
違法ではあるが、運用は認めるという判決になっています。
しかし、このダムも建設計画が持ちあった時と状況は変化し、必要の無いところに作ってしまった典型になりました。
人間と自然との共存を考えながら開発は、進めなければいけないと思います。
一度、壊れてしまった自然も人々の伝統も元には戻らないのだから。
http://www.jca.apc.org/~kaymaru/Nibutani/Nibutani.html
二風谷ダム
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/skayano/menu.html
アイヌタイムズ
http://www.diplo.jp/articles99/9907-3.html
ナミビアのダム開発をめぐる二つの論理